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まずは診断書の準備を(後見開始申立手続きにおける診断書の重要性)(成年後見シリーズ②)

「後見開始申立書の作成を依頼したい。ついては相談に伺いたいのですがなにか準備しておくものはありますか?」とのご質問をいただくことがあります。申立てをおこなうにあたってまず必要になるのは「診断書」です。
ですから、事前に診断書を準備していただければ、具体的な手続きの方向性や内容のご説明をさせていただくことができます。

診断書を作成していただく医師は、かかりつけの医師(内科医など)で結構です。精神科医である必要はありません。診断書は、神戸家庭裁判所提出用の所定の診断書様式がありますので必ずこちらの診断書様式に記入してもらってください(以下をダウンロードしてください)。この診断書は神戸家庭裁判所管内(兵庫県内)統一書式ですので、ご本人が兵庫県内にお住まいなら使用可能です。病院で診断書の発行してもらうのに、一般に5000円程度かかるようですので、くれぐれもお間違いなく。

診断書の「判断能力判定についての意見」に医師がいずれかのチェックをつけることになります。基本的には、このチェックに沿って申立てをおこなうことになります。後見開始相当にチェックがつけば、「後見開始申立て」を「保佐開始相当」にチェックがつけば「保佐開始申立て」をおこなうわけです。後見開始相当なら、ご本人の判断能力は相当低いことになりますのでご本人を申立人とするのは難しいかもしれません。そうすると誰か別の親族を申立人として探さなければなりません。保佐開始相当や補助開始相当であればご本人の(後見制度利用への)納得はあるか、代理権はどのようなものが必要かなどの検討をおこなわなければなりません。このように診断書をとってみないと、相談でも一般的な手続の説明にとどまらざるを得ず、具体的検討にまで入れないわけです。

診断書は、現在の申立手続の運用では極めて重要な位置づけを占めています。前回の「成年後見シリーズ①」でも書きましたが、本来、「診断書」と「鑑定」の2つの手続きでご本人の判断能力を調べるのですが、現在の実務運用においては、鑑定手続きが入ることはあまりありません。
つまり、診断書の「判断能力判定についての意見」の結果が大きく覆ること(たとえば診断書が「後見相当」であったのに審判は「保佐」となるなど)はあまりありません。

後見制度は、第三者が財産管理をおこなうことによりご本人の権限を大きく制限するものですから、私は(簡易な様式である)診断書のみで安易に判断能力を判定してしまうことには反対です。鑑定をもっと利用するか、診断書をより鑑定的要素を含んだ詳しい内容に変更するかして、しっかりとした判断能力の判定をすべきだと考えています。
しかし、鑑定にかかる費用(5万円~10万円程度)や時間を考慮すると、申立人の立場としては、鑑定はやはり避けたいものだろうと思います。

診断書には、知能検査欄などありますが漏れなく記載してもらうようにしてください。漏れがあると、再提出を求められたり鑑定が入る可能性があります。また、「鑑定についてのおたずね」についても記入をお願いし、可能な限り、家庭裁判所から精神鑑定を依頼された場合には鑑定を引き受けていただくよう頼んでみてください。「鑑定」という響きから引き受けることに躊躇される医師も多いですが、成年後見の鑑定はマニュアルも整備されています。もちろん精神科以外の専門(内科医など)でも問題ありません。もし、引き受けられない場合は、(鑑定が必要と判断された場合)家庭裁判所が担当する鑑定医を探すことになり、審判が出るまでにかなりの時間を要することになります。また、診断書作成の医師と鑑定医が異なるということは、判定結果が異なる可能性も大きいといえます。たとえば、診断書は「後見開始相当」だったために後見申立てをおこなったが、鑑定の結果「保佐相当」となり、代理権の検討などに悩むことになるかもしれません。(澤井靖人)

■医師に診断書等作成を依頼するのに必要な書類
 1.【診断書(成年後見用)の作成を依頼された医師の方へ】
 2.【診断書】
 3.【鑑定についてのおたずね】

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成年後見にかかる費用(成年後見シリーズ①)

姥先生が「できるだけわかりやすい相続登記シリーズ」の連載を開始されたので、私も「成年後見」についてよくある質問を「できるだけ」わかりやすく書いてみたいと思います。みなとこうべ司法書士事務所のホームページの「よくあるご質問」にもまとめてありますのでこちらもご一読ください。

よくいただく質問はやはり費用についてでしょうか、成年後見にかかる主な費用として、

1.後見人を選ぶための「申立てにかかる費用」と
2.司法書士等の専門職後見人が選ばれた場合の「専門職後見人にかかる費用」があります。

1.「申立てにかかる費用」
成年後見人(保佐人・補助人)を選任するためには、家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
申立ては、申立人ご自身でされるか、司法書士・弁護士に依頼してすることになります。(司法書士・弁護士以外の者が業として申立書を作成することは法律で禁じられています)

申立てにかかる費用としては、

①まず、申立てにかかる実費が必要です。家庭裁判所に収入印紙や切手を納める必要がありますし、戸籍や診断書の提出も必要です。これらの実費として概ね1万円~2万円程度かかります。

②次に、鑑定費用の準備が必要です。家庭裁判所が診断書などの申立書書類からだけでは、判断能力が明らかにならないと判断したときは、あらためて医師に「鑑定」を求めることになります。現在の運用では鑑定手続きはほぼ省略されていますが、鑑定が必要となると、医師への鑑定料が5万円~10万円かかってしまうことになります。

③申立てに必要な書類(登記されていないことの証明書・戸籍謄本等)の取り寄せや申立書の作成は煩雑です。司法書士に申立書作成を依頼した場合は、司法書士への手続報酬がかかります。みなとこうべ司法書士事務所の手続報酬については当事務所のホームページをご参照ください。

「申立てにかかる費用」でご注意いただきたいのは、原則「申立人」が①~③の費用を負担しなければならないことです。ご本人の申立能力がない場合に親族が申立人とならざるを得ない場合がありますが、この場合、申立人となった親族が費用を負担しなければなりません(ご本人の財産から支弁することができません)。
 なお、申立時に「家事事件手続法28条2項2号の上申書」を併せて提出することで、①②の費用については本人財産の負担(一旦は申立人が立替え、後見人が選ばれた後に本人財産より支払い)とすることができます。

2.「専門職後見人にかかる費用」
 後見人が選任されると、後見人は施設利用料等の本人のために必要となる費用を本人の財産から支払っていきます。親族が後見人に就任した場合に報酬付与申立てをおこなうことはあまりないと思いますが、司法書士などの専門職後見人が選任された場合には後見人への報酬が発生するのが通常です。

 後見人は概ね1年に1回、家庭裁判所に報告をおこないます。その際、専門職後見人は併せて「報酬付与の申立て」をおこないます。家庭裁判所は、後見事務の難易や活動期間、ご本人の財産等を総合的に検討し、後見人の報酬を決定します。後見人は審判により定められた報酬をご本人の財産の中から受領します。

 報酬は「後見人の活動に対する家庭裁判所の評価」ですから、思った以上に多く感じることもありますし、少なく感じることもあります。後見人自身で報酬額を決めることはできません。ですから、成年後見人の報酬はいくらですかとのご質問にお答えすることはできません。
 では、めやすはいくらぐらいかというと、東京家庭裁判所が「成年後見人等の報酬額のめやす」を公表していますのでご参照ください。全国的に概ねこのめやすと同じような運用をしているようです。

 「専門職後見人にかかる費用」でご注意いただきたいのは、ご本人の財産が少ないからといって、後見制度を利用できないわけではないということです。報酬を受領した結果ご本人の財産がまったくなくなってしまっては、専門職後見人自身も困ってしまいます。公益性が高い仕事ですから、ご本人の財産が少なくて「報酬をいただくことが困難」な後見人に就任することも当然にあります。(澤井靖人)

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成年被後見人に選挙権を付与する法案が成立

このブログでも何度かとりあげてきましたが、成年被後見人に選挙権を付与する改正公職選挙法が成立しました。

リーガルサポートでは成年被後見人への選挙権付与を求める署名活動をおこなってきましたが、私の周りでも趣旨に賛同する多くのみなさんにご協力をいただきました。ありがとうございました。(澤井靖人)

成年被後見人13万人に選挙権、改正公選法成立

成年被後見人への選挙権付与に向けた改正への動き

成年被後見人が選挙権を喪失することについて違憲とする地裁判決が出されたばかりですが、さっそく法改正の動きがあるようです。動きが早いですね。(澤井靖人)

被後見人に選挙権付与=今国会にも法改正-政府・与党

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親族間の横領で刑が免除される特例は成年後見人には適用できないとする最高裁判決

平成24年10月9日、最高裁判所は「成年後見人が成年被後見人と親族関係であっても刑を免除する特例は適用できない」との判断を示しました。刑法244条第1項で「配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。」(第235条「窃盗罪」、第235条の2「不動産侵奪罪」)と定められており、第255条で横領罪についても準用されていることについて、成年後見人による横領との関係を示したものです。

判決の主文は、「家庭裁判所から選任された成年後見人の後見の事務は公的性格を有する」ことを適用できない理由として述べており、刑法第244条第1項所定の親族関係(たとえば妻・親子)があっても「量刑に当たりこの関係を酌むべき事情として考慮するのも相当ではない」としています。
 
少し古いデータですが、平成22年6月~平成23年3月(10か月間)の親族後見人による財産着服の被害総額は約18億3000万円(182件)とのことです。これらすべての財産着服が刑事告訴されたかどうかは不明です。近しい親族関係であるほど、財産を管理する全権限が当然にあるとの認識が生じやすくなる一方で他人の財産を管理しているとの意識は低くなります。また扶養関係にある場合の線引きの難しさもあります。そのような関係の中で財産着服が発覚しても、家庭裁判所としては着服した親族に返還を約束させる(民事的解決)のみで刑事告訴されない事件は多数あったと思われます。

家庭裁判所では今年から「後見制度支援信託」制度の運用を開始するなど、親族を成年後見人することに慎重な運用をおこなうようになってきています。今回の最高裁判決により、今後、ますます親族の成年後見人は選任されづらくなっていくように思います。(澤井靖人)

NHK NEWS WEB   
裁判所判例Watch  


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