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相続財産破産管財人による任意売却の前提としての所有権登記名義人表示変更登記について

久しぶりに少し難しい登記のお題で。

Xについて破産手続開始決定がされ、弁護士Yが破産管財人に選任された後にXが死亡(なお、Xの相続人全員が相続放棄)した事案です。

破産法227条は、「裁判所は、破産手続開始の決定後に破産者について相続が開始したときは、当該相続財産についてその破産手続を続行する。」と定めており、手続きは続行されます。そこで破産管財人がX名義の不動産を任意売却するにあたって、前提として「亡X相続財産」に所有権登記名義人表示変更をする必要があるのですが、論点としてその登記原因をどのようにするかということです。

他の司法書士のブログ等を拝見すると「平成〇〇年〇〇月〇〇日破産法第227条に基づく破産手続き続行」を登記原因として所有権登記名義人表示変更登記をしたというものがありました。私もそれでよいのかな、と考えていたのですが、神戸地方法務局で打ち合わせたところ、今回は「平成〇〇年〇〇月〇〇日相続人不存在」を原因として申請して欲しいということになりました(相続人が存在する前提としては検討されていないので、存在するケースについてはあらためて打ち合わせて欲しいとのこと)。

ちなみに変更証明情報は破産管財人の資格証明書(選任審判書)に「死亡した破産者に相続人がいない」旨が記載されていればそれのみでよいが、記載がなければ相続関係戸籍一式が必要とのことで、破産管財人から地方裁判所に戸籍一式を確認してもらい、「上記の者に対し、平成〇〇年〇〇月〇〇日午後〇時御庁において破産手続開始決定があったこと、私が破産管財人に選任されたこと、その後、破産者Xが平成〇〇年〇〇月〇〇日死亡して相続が開始したため破産法第227条により、当該相続財産について破産手続が続行することになり、私が、引き続き破産者亡X相続財産の破産管財人になっていること、死亡したXには相続人がいないこと及び次の印鑑が破産管財人の印鑑として届け出たものと相違ないことを証明願います。」という長い内容の証明を出してもらうことになりました。

ご参考まで。(澤井靖人)


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不正登記防止申出をおこなった不動産を売却しました

平成25年8月16日のブログで、不正登記防止申出をおこなった事を書き、12月17日のブログでは不正登記防止申出がなされた不動産には、その旨がわかるようなシステムが法務局内に整備されていると書きました。

今回、不正登記防止申出をおこなった物件を売却しました。登記申請日の翌日に「不正登記防止申出がなされた不動産に登記申請がなされていますが」と法務局から電話がありました。この登記申請は問題ない旨を伝え電話を切りました。
改めて不正登記防止申出制度は有効に機能していることを実感しました。(姥圭太郎)


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権利能力なき社団である管理組合がおこなう代位登記について

今回は少し難しい登記のお題を一つ。
権利能力なき社団である管理組合が管理費等請求訴訟判決による不動産強制競売をおこなう前提として、被相続人名義のままである不動産について代位により相続登記をおこなう場合、

・代位者の表記をどのようにするか
・資格証明書の内訳はなにか
・代位原因の表記はどの程度か

という論点。法務局との打ち合わせにより、

・代位者の表記は理事長個人の住所氏名
・資格証明書は管理組合規約・選任議事録に加え、理事長個人の住民票
・代位原因の表記は「平成〇年〇月から平成〇年〇月までの管理費等の強制執行」程度で問題ない

ということになり、無事登記が完了しました。
権利能力なき社団と登記が絡むと面倒ですね。こういう事案も結構多いように思うのですが、打ち合わせや前提の先例等資料調査に思いの外苦労しました。神戸地方法務局管内はこれでいけるようですが、各自自己責任でご確認ください。ご参考まで(澤井靖人)


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第2回の不正登記防止申出をおこないました

8月16日のブログで不正登記防止申出をおこなったことを報告しました。不正登記防止申出は3か月ごとにする必要がありますので、第2回の申出をおこないました。前回ブログにも書きましたが、登記申請がされた場合に法務局がどのようにチェックするかにつき、それとなく聞いてきました。

結果は、不正登記防止申出がなされた不動産には、その旨がわかるようなシステムが法務局内に整備されているそうです。具体的には、登記申請書を調査する際に使用する調査票に、不正登記防止申出がなされている旨が記載されるそうです。これで一安心です。(姥圭太郎)

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不正登記防止申出をおこないました。

少し前に初めて法務局に対して「不正登記防止申出」をおこないました。 

「不正登記防止申出」とは、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に登記名義人や相続人等が登記所にその旨の申出(不動産登記事務取扱手続準則第35条)をおこない不正な登記がされるのを防止する制度のことです。

この申出をおこなえば、申出から3ヶ月以内に登記が申請された場合、申出人に当該登記が申請された旨の通知が届きます。この通知を受け取ることにより身に覚えのない不正な登記がされるのを防止することができるわけです。

この制度を利用するには、下記のような、ある程度の具体的な行動をとっていることが、原則として必要となります。
(平成17年2月25日法務省民二第457号の第1の2)

 ・市町村長に印鑑証明書の不正発行に関する相談をしている
 ・警察に防犯上の相談をしている
 ・告発の手続を取っている

ただし、この申出をおこなうと、その対象となる登記申請があった場合に、その登記申請が却下されるというわけではなく、当該登記申請が、不動産登記法24条により登記官による本人確認の対象となり、登記官が申請人の申請の権限を調査することになります。

ちなみに、この申出をおこなうと、登記官は、不正登記防止申出書類つづり込み帳に申出書及びその添付書面等の関係書類をつづり込むものとする。と規定されています。

現在、登記簿は電子化されていますが、申出書は紙で管理するようです。
登記官は登記申請書をチェックするたびに、このつづり込み帳を確認するのでしょうか?
それともなにかチェックするシステムが法務局にあるのでしょうか?
もうすぐ2回目の「不正登記防止申出」をおこないますので、それとなく聞いてみることにします。(姥圭太郎)


参考
■不動産登記法
第24条(登記官による本人確認)
 登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。

2  登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。

■不動産登記事務取扱手続準則
第35条(不正登記防止申出)
1.不正登記防止申出は,登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者若しくは代理人(委任による代理人を除く。)が登記所に出頭してしなければならない。ただし,その者が登記所に出頭することができない止むを得ない事情があると認められる場合には,委任による代理人が登記所に出頭してすることができる。

2.不正登記防止申出は別記第53号様式又はこれに準ずる様式による申出書を登記官に提出してするものとする。

3.前項の申出書には,登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者若しくは代理人が記名押印するとともに,次に掲げる書面を添付するものとする。ただし,登記申請における添付書面の扱いに準じて,次に掲げる添付書面を省略することができる。

一 登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人又はその代表者若しくは代理人(委任による代理人を除く。)の印鑑証明書
二 登記名義人又はその一般承継人が法人であるときは,当該法人の代表者の資格を証する書面
三 代理人によって申出をするときは,当該代理人の権限を証する書面

4.登記官は,不正登記防止申出があった場合には,当該申出人が申出に係る登記の登記名義人若しくはその相続人その他の一般承継人本人であること,当該申出人が申出をするに至った経緯及び申出が必要となった理由に対応する措置を採っていることを確認しなければならない。
 この場合において,本人であることの確認は,必要に応じ規則第72条第2項各号に掲げる方法により行うものとし,登記名義人の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と異なるときは,氏名若しくは名称又は住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏を証する書面の提出も求めるものとする。

5.登記官は,不正登記防止申出を受けたときは,不正登記防止申出書類つづり込み帳に第2項の申出書及びその添付書面等の関係書類をつづり込むものとする。

6.前項の場合は,不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録に,申出に係る不動産の不動産所在事項,申出人の氏名及び申出の年月日を記載するものとする。

7.登記官は,不正登記防止申出があった場合において,これを相当と認めるときは,前項の目録に本人確認の調査を要する旨を記載するものとする。

8.不正登記防止申出の日から3月以内に申出に係る登記の申請があったときは,速やかに,申出をした者にその旨を適宜の方法で通知するものとする。本人確認の調査を完了したときも,同様とする。

9.登記官は,不正登記防止申出に係る登記を完了したときは,第2項の申出書を不正登記防止申出書類つづり込み帳から除却し,申請書(電子申請にあっては,電子申請管理用紙)と共に保管するものとする。この場合には,不正登記防止申出書類つづり込み帳の目録に,登記を完了した旨及び除却の年月日を記載するものとする。
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