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遺言を書く必要性

みなとこうべ司法書士事務所ホームページの「業務内容―家族・相続のこと」の「遺言」でもご紹介していますが、以下のような相続登記の相談をよく受けます。先日もこのようなご相談がありました。


★相談者  Aさん
★相談内容 
夫Bさんが亡くなり、相続財産として夫名義のマンションがあります。
Bさんとは再婚で子供はいません。Aさんには前夫との間に子供(Cさん)がおり、3人で生活していましたが、BさんとCさんの間で養子縁組はおこなっていませんでした。

ご相談は、マンションには今後もAさん・Cさんが住み続けるため、名義をAさんとする相続登記手続きをしたいというものです。
なお、Bさんのご両親は既に亡くなっており、ご兄弟は7名、内2名は亡くなりその子供(Bさんにとって甥姪)が各2名ずついますが、いずれも遠隔地に住んでおり、音信はありません。

この場合、Aさんと夫Bさんのご兄弟甥姪9名が相続人となりますので、全員でマンションの名義をAさんにするという内容の遺産分割協議をおこない、遺産分割協議書に実印をついていただき、印鑑証明書をご提出いただかないかぎりマンションをAさんの名義にする相続登記はできません(なお、Cさんは相続人にはなりません)

説明を聞き、Aさんは不安そうに言われます、「入院して、こんなに早く亡くなるとは思わなかった」「今まで行き来のなかった兄弟姉妹とうまく話ができるだろうか」と…


もし、生前に夫BさんがマンションをAさんに相続させるという内容の遺言を遺しておいてさえくれれば、遺産分割協議をおこなうことなく、マンションをAさん名義とする相続登記ができたのですが…。

子供がいないご夫婦で、自分が亡くなったら財産を妻(夫)に遺したいのなら、ぜひ遺言書を書いておかれることをお勧めします。(姥 圭太郎)

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渉外登記の研修に参加してきました。

3月31日(土)に渉外登記(売買・相続等の不動産登記編)の研修に参加してきました。
講師は東京司法書士会中央支部の山北英仁先生でした。

渉外登記とは簡単にいうと、日本の不動産を外国人が売ったり・買ったりした際に行う登記のことです。
研修内容はわかりやすく実践的で特に宣誓供述書の作成のポイントは本当に勉強になりました。


外国人と登記に関しては「外国人が不動産を購入する際には、なにか制限があるのですか?」とよく聞かれます。
以下詳しく書きますが、結論は「(ほぼ)なんの制限もない」です。

①昭和24年政令第51号で「外国人の財産取得に関する政令」が制定され、外国人が日本人または日本の政府、地方公共団体から『財産』を取得する場合、一定の制限がかけられましたが、昭和55年12月1日廃止されました。

②昭和24年政令第311号で「外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令」が制定され、外国政府が不動産を取得し、又は賃借しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない、と制限がかけられましたが同令に基づく財務大臣が承認を要すると指定する国から多くの国が除外されており、財務大臣の承認が必要なのは、北朝鮮など日本と国交のない国だけなので、この政令が実際に適用される場合はほとんどありません。

③最後に、外国人土地法の第1条では、日本人・日本法人による土地の権利の享有を制限している国に属する外国人・外国法人に対しては、日本における土地の権利の享有について、その外国人・外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を勅令によってかけることができると定められています。しかしながらこの1条に基づく勅令が発せられたことは未だにありません。

また、第4条では、国防上必要な地区においては、勅令によって外国人・外国法人の土地に関する権利の取得を禁止、または条件もしくは制限をつけることができると定められています。第4条に関しては大正15年に「外国人土地法施行令」が定められ、国防上重要な地域における外国人による土地の取得に関して、陸軍大臣、海軍大臣の許可を得ることを義務づけられ、勅令では伊豆七島、小笠原諸島、対馬、沖縄諸島、南樺太、千島列島など外国に近い位置にある島々や、横須賀、舞鶴、呉、佐世保など帝国海軍鎮守府所在地が対象となりましたが、勅令は太平洋戦争終戦後の昭和20年に廃止されました。

以上のように、現在、外国人が日本の不動産を購入する際に制限は(ほぼ)ないのです。
(姥 圭太郎)


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