成年後見にかかる費用(成年後見シリーズ①)
- 2013.08.29 15:50
- Cat:後見
姥先生が「できるだけわかりやすい相続登記シリーズ」の連載を開始されたので、私も「成年後見」についてよくある質問を「できるだけ」わかりやすく書いてみたいと思います。みなとこうべ司法書士事務所のホームページの「よくあるご質問」にもまとめてありますのでこちらもご一読ください。
よくいただく質問はやはり費用についてでしょうか、成年後見にかかる主な費用として、
1.後見人を選ぶための「申立てにかかる費用」と
2.司法書士等の専門職後見人が選ばれた場合の「専門職後見人にかかる費用」があります。
1.「申立てにかかる費用」
成年後見人(保佐人・補助人)を選任するためには、家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
申立ては、申立人ご自身でされるか、司法書士・弁護士に依頼してすることになります。(司法書士・弁護士以外の者が業として申立書を作成することは法律で禁じられています)
申立てにかかる費用としては、
①まず、申立てにかかる実費が必要です。家庭裁判所に収入印紙や切手を納める必要がありますし、戸籍や診断書の提出も必要です。これらの実費として概ね1万円~2万円程度かかります。
②次に、鑑定費用の準備が必要です。家庭裁判所が診断書などの申立書書類からだけでは、判断能力が明らかにならないと判断したときは、あらためて医師に「鑑定」を求めることになります。現在の運用では鑑定手続きはほぼ省略されていますが、鑑定が必要となると、医師への鑑定料が5万円~10万円かかってしまうことになります。
③申立てに必要な書類(登記されていないことの証明書・戸籍謄本等)の取り寄せや申立書の作成は煩雑です。司法書士に申立書作成を依頼した場合は、司法書士への手続報酬がかかります。みなとこうべ司法書士事務所の手続報酬については当事務所のホームページをご参照ください。
「申立てにかかる費用」でご注意いただきたいのは、原則「申立人」が①~③の費用を負担しなければならないことです。ご本人の申立能力がない場合に親族が申立人とならざるを得ない場合がありますが、この場合、申立人となった親族が費用を負担しなければなりません(ご本人の財産から支弁することができません)。
なお、申立時に「家事事件手続法28条2項2号の上申書」を併せて提出することで、①②の費用については本人財産の負担(一旦は申立人が立替え、後見人が選ばれた後に本人財産より支払い)とすることができます。
2.「専門職後見人にかかる費用」
後見人が選任されると、後見人は施設利用料等の本人のために必要となる費用を本人の財産から支払っていきます。親族が後見人に就任した場合に報酬付与申立てをおこなうことはあまりないと思いますが、司法書士などの専門職後見人が選任された場合には後見人への報酬が発生するのが通常です。
後見人は概ね1年に1回、家庭裁判所に報告をおこないます。その際、専門職後見人は併せて「報酬付与の申立て」をおこないます。家庭裁判所は、後見事務の難易や活動期間、ご本人の財産等を総合的に検討し、後見人の報酬を決定します。後見人は審判により定められた報酬をご本人の財産の中から受領します。
報酬は「後見人の活動に対する家庭裁判所の評価」ですから、思った以上に多く感じることもありますし、少なく感じることもあります。後見人自身で報酬額を決めることはできません。ですから、成年後見人の報酬はいくらですかとのご質問にお答えすることはできません。
では、めやすはいくらぐらいかというと、東京家庭裁判所が「成年後見人等の報酬額のめやす」を公表していますのでご参照ください。全国的に概ねこのめやすと同じような運用をしているようです。
「専門職後見人にかかる費用」でご注意いただきたいのは、ご本人の財産が少ないからといって、後見制度を利用できないわけではないということです。報酬を受領した結果ご本人の財産がまったくなくなってしまっては、専門職後見人自身も困ってしまいます。公益性が高い仕事ですから、ご本人の財産が少なくて「報酬をいただくことが困難」な後見人に就任することも当然にあります。(澤井靖人)
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みなとこうべ司法書士事務所は三宮駅から徒歩5分、便利な立地に事務所を構え多くの方々の笑顔を取り戻してきました。
アットホームで元気に満ちあふれた司法書士が様々なお悩みを解決させて頂きます!まずはお気軽にご相談下さい。
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よくいただく質問はやはり費用についてでしょうか、成年後見にかかる主な費用として、
1.後見人を選ぶための「申立てにかかる費用」と
2.司法書士等の専門職後見人が選ばれた場合の「専門職後見人にかかる費用」があります。
1.「申立てにかかる費用」
成年後見人(保佐人・補助人)を選任するためには、家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
申立ては、申立人ご自身でされるか、司法書士・弁護士に依頼してすることになります。(司法書士・弁護士以外の者が業として申立書を作成することは法律で禁じられています)
申立てにかかる費用としては、
①まず、申立てにかかる実費が必要です。家庭裁判所に収入印紙や切手を納める必要がありますし、戸籍や診断書の提出も必要です。これらの実費として概ね1万円~2万円程度かかります。
②次に、鑑定費用の準備が必要です。家庭裁判所が診断書などの申立書書類からだけでは、判断能力が明らかにならないと判断したときは、あらためて医師に「鑑定」を求めることになります。現在の運用では鑑定手続きはほぼ省略されていますが、鑑定が必要となると、医師への鑑定料が5万円~10万円かかってしまうことになります。
③申立てに必要な書類(登記されていないことの証明書・戸籍謄本等)の取り寄せや申立書の作成は煩雑です。司法書士に申立書作成を依頼した場合は、司法書士への手続報酬がかかります。みなとこうべ司法書士事務所の手続報酬については当事務所のホームページをご参照ください。
「申立てにかかる費用」でご注意いただきたいのは、原則「申立人」が①~③の費用を負担しなければならないことです。ご本人の申立能力がない場合に親族が申立人とならざるを得ない場合がありますが、この場合、申立人となった親族が費用を負担しなければなりません(ご本人の財産から支弁することができません)。
なお、申立時に「家事事件手続法28条2項2号の上申書」を併せて提出することで、①②の費用については本人財産の負担(一旦は申立人が立替え、後見人が選ばれた後に本人財産より支払い)とすることができます。
2.「専門職後見人にかかる費用」
後見人が選任されると、後見人は施設利用料等の本人のために必要となる費用を本人の財産から支払っていきます。親族が後見人に就任した場合に報酬付与申立てをおこなうことはあまりないと思いますが、司法書士などの専門職後見人が選任された場合には後見人への報酬が発生するのが通常です。
後見人は概ね1年に1回、家庭裁判所に報告をおこないます。その際、専門職後見人は併せて「報酬付与の申立て」をおこないます。家庭裁判所は、後見事務の難易や活動期間、ご本人の財産等を総合的に検討し、後見人の報酬を決定します。後見人は審判により定められた報酬をご本人の財産の中から受領します。
報酬は「後見人の活動に対する家庭裁判所の評価」ですから、思った以上に多く感じることもありますし、少なく感じることもあります。後見人自身で報酬額を決めることはできません。ですから、成年後見人の報酬はいくらですかとのご質問にお答えすることはできません。
では、めやすはいくらぐらいかというと、東京家庭裁判所が「成年後見人等の報酬額のめやす」を公表していますのでご参照ください。全国的に概ねこのめやすと同じような運用をしているようです。
「専門職後見人にかかる費用」でご注意いただきたいのは、ご本人の財産が少ないからといって、後見制度を利用できないわけではないということです。報酬を受領した結果ご本人の財産がまったくなくなってしまっては、専門職後見人自身も困ってしまいます。公益性が高い仕事ですから、ご本人の財産が少なくて「報酬をいただくことが困難」な後見人に就任することも当然にあります。(澤井靖人)
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