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「神戸市成年後見支援センター職員向け研修」・「兵庫県社会福祉士会ぱあとなあ兵庫 神戸エリア研修会」の講師を担当してきました。

9月25日(水)は、神戸市成年後見支援センターの職員向け研修で「後見監督人の実務」を、9月28日(土)は兵庫県社会福祉士会ぱあとなあ兵庫の神戸エリア研修会で「成年被後見人等の債務への対応」を、それぞれ講師として講義してきました。

成年後見の選任・活動の輪が拡がるとともに、「成年後見制度の概要」といった総論的なテーマだけでなく、今回のような各論的なテーマへの講義依頼が増えているように思います。

神戸市では、神戸市成年後見支援センターで養成研修を受けて登録された市民後見人候補者が家庭裁判所に推薦されることで、後見人に選任されています。併せて成年後見支援センターが後見監督人(または複数後見人)に選任されることにより、市民後見人の活動を支援・監督しています。市民後見人の活動も実績を上げ、選任数も着実に増えてきているようです。監督・支援する成年後見支援センター職員のみなさんは今後ますます大変になると思われますが、市民後見人への信頼が高まることでさらに根付いていけばよいですね。

後見監督人の実務については、この分野について体系的に書かれた専門書籍が少ないこと、また法律が求める監督人と家庭裁判所が求める監督人の役割に違いがあること等、準備に少し手間がかかりましたが、あらためて条文を読み返し、資料を整理することにより自分自身も理解を整理することができ、あらためてよい勉強になりました。

債務整理の研修では、前回の「居住用不動産の処分」研修の際はかなり細かい説明をおこないましたが、今回はあまり細かな説明になりすぎないよう注意しながら制度の概要や対応にあたっての実務的な流れ等を説明しました。後見人だからといってなんでも自身で解決してしまおうとせず、司法書士・弁護士等の専門家にアクセスすることも後見人の重要な資質であることを強調しましたが、少し説教くさかったかもしれません。
さすがに1週間に2回も講師をやると、講義の準備に追われることもあり、終わるとクタクタになりますね。
(澤井靖人)
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成年後見制度の利用が難しい事案1(成年後見シリーズ③)

成年後見制度は、判断能力が不十分になった高齢者などの権利を守るための重要な選択肢のひとつですが、決して万能な制度ではありません。周囲が成年後見制度を利用したほうがよいと思っても利用につなげることが困難な場合があります。そんなケースをいくつかあげてみます。

1.診断書がとれない場合
母親Aさんと長女Bさんが同居して一緒に生活している場合に、次女のCさんから「母(Aさん)の判断能力が衰えたことをよいことに、姉のBが母の財産を勝手に使い込んでいる。成年後見人を選任して母の財産を守りたい。だが、Bが母(Aさん)を囲い込んでしまい、会わせてもらえない」との相談を受けたケースです。

財産搾取が事実であれば経済的虐待であり、緊急性を要しますが、母親Aさんへの面会が困難であり、診断書を取得することが難しいことからすぐに後見制度へつなげることは難しいです。成年後見制度は「判断能力の不十分」なかたのための制度です。医師の診断書はそのことを確認する重要な書類と位置づけられていますので、診断書がないと、いくら緊急性があっても家庭裁判所に申立てを受け付けてもらえません。(もちろん、診断書が取得できるなら、後見制度の利用は問題解決の方法の1つです)

経済的虐待の事実が間違いないのであれば、緊急対応が必要です。このような場合は、地域包括支援センター(神戸市の場合は「あんしんすこやかセンター」)や各区の保健福祉部に通報し、行政に支援・連携を求めることになります。また、困ったときは私たち専門家に相談してください。
「高齢者・障害者権利擁護なんでも110番」などの無料相談窓口もあります。
(毎週第3火曜日13時~16時 TEL(078)362-0074)

あと、「母の浪費を止めたい」とのご相談もよくありますが、同様に診断書で判断能力の低下が認められない限り、ただ浪費癖があるというだけでは後見制度の利用は難しいです。平成12年の制度改正前の成年後見制度は、禁治産・準禁治産に分けられており、準禁治産には「浪費」も含まれていましたが、改正に伴い削除されました。

また、ご本人自身が後見開始申立てに協力的でなく、診断書がとれない場合も難しいです。ご本人が保佐・補助相当の場合によくあります。

少し長くなったのでつづきは次回に(澤井靖人)

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まずは診断書の準備を(後見開始申立手続きにおける診断書の重要性)(成年後見シリーズ②)

「後見開始申立書の作成を依頼したい。ついては相談に伺いたいのですがなにか準備しておくものはありますか?」とのご質問をいただくことがあります。申立てをおこなうにあたってまず必要になるのは「診断書」です。
ですから、事前に診断書を準備していただければ、具体的な手続きの方向性や内容のご説明をさせていただくことができます。

診断書を作成していただく医師は、かかりつけの医師(内科医など)で結構です。精神科医である必要はありません。診断書は、神戸家庭裁判所提出用の所定の診断書様式がありますので必ずこちらの診断書様式に記入してもらってください(以下をダウンロードしてください)。この診断書は神戸家庭裁判所管内(兵庫県内)統一書式ですので、ご本人が兵庫県内にお住まいなら使用可能です。病院で診断書の発行してもらうのに、一般に5000円程度かかるようですので、くれぐれもお間違いなく。

診断書の「判断能力判定についての意見」に医師がいずれかのチェックをつけることになります。基本的には、このチェックに沿って申立てをおこなうことになります。後見開始相当にチェックがつけば、「後見開始申立て」を「保佐開始相当」にチェックがつけば「保佐開始申立て」をおこなうわけです。後見開始相当なら、ご本人の判断能力は相当低いことになりますのでご本人を申立人とするのは難しいかもしれません。そうすると誰か別の親族を申立人として探さなければなりません。保佐開始相当や補助開始相当であればご本人の(後見制度利用への)納得はあるか、代理権はどのようなものが必要かなどの検討をおこなわなければなりません。このように診断書をとってみないと、相談でも一般的な手続の説明にとどまらざるを得ず、具体的検討にまで入れないわけです。

診断書は、現在の申立手続の運用では極めて重要な位置づけを占めています。前回の「成年後見シリーズ①」でも書きましたが、本来、「診断書」と「鑑定」の2つの手続きでご本人の判断能力を調べるのですが、現在の実務運用においては、鑑定手続きが入ることはあまりありません。
つまり、診断書の「判断能力判定についての意見」の結果が大きく覆ること(たとえば診断書が「後見相当」であったのに審判は「保佐」となるなど)はあまりありません。

後見制度は、第三者が財産管理をおこなうことによりご本人の権限を大きく制限するものですから、私は(簡易な様式である)診断書のみで安易に判断能力を判定してしまうことには反対です。鑑定をもっと利用するか、診断書をより鑑定的要素を含んだ詳しい内容に変更するかして、しっかりとした判断能力の判定をすべきだと考えています。
しかし、鑑定にかかる費用(5万円~10万円程度)や時間を考慮すると、申立人の立場としては、鑑定はやはり避けたいものだろうと思います。

診断書には、知能検査欄などありますが漏れなく記載してもらうようにしてください。漏れがあると、再提出を求められたり鑑定が入る可能性があります。また、「鑑定についてのおたずね」についても記入をお願いし、可能な限り、家庭裁判所から精神鑑定を依頼された場合には鑑定を引き受けていただくよう頼んでみてください。「鑑定」という響きから引き受けることに躊躇される医師も多いですが、成年後見の鑑定はマニュアルも整備されています。もちろん精神科以外の専門(内科医など)でも問題ありません。もし、引き受けられない場合は、(鑑定が必要と判断された場合)家庭裁判所が担当する鑑定医を探すことになり、審判が出るまでにかなりの時間を要することになります。また、診断書作成の医師と鑑定医が異なるということは、判定結果が異なる可能性も大きいといえます。たとえば、診断書は「後見開始相当」だったために後見申立てをおこなったが、鑑定の結果「保佐相当」となり、代理権の検討などに悩むことになるかもしれません。(澤井靖人)

■医師に診断書等作成を依頼するのに必要な書類
 1.【診断書(成年後見用)の作成を依頼された医師の方へ】
 2.【診断書】
 3.【鑑定についてのおたずね】

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