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任意後見制度2(成年後見シリーズ⑦-最終回)


東京都福祉保健局のホームページに「任意後見制度に関係する悪質な犯罪行為にご注意ください」との記事が掲載されました。任意後見に関するトラブルが増えている結果かと思います。

任意後見制度は、自分の信頼する人に将来を託すことができるという、ご本人の自己決定を尊重したすばらしい制度です。また、任意後見契約に見守り契約・財産管理委任契約(任意代理契約)・死後事務委任契約などを併せて締結することで、ご本人のご希望に沿ったきわめて自由度の高い設定ができます。反面、自由度が高いゆえの副作用も大きく、使い方を間違えると財産侵害につながりかねない制度でもあります。

東京都福祉保健局のホームページにもトラブル事例が掲載されていますが、他にも既に若干判断能力の低下した高齢者と多額な委任報酬を受領する任意後見契約を締結するなどの任意後見制度が悪質ビジネス化している事例もあるようです。

「任意後見制度1」でも述べましたが、任意後見契約を締結するにあたっては、相手が自分の財産を託すに足りる人物であるか、信頼できる人物であるか、最期までよい関係を維持できそうか、契約の締結までじっくりと時間をかけて考えることをお勧めします。そういう意味では、契約までの期間は「お見合い」のようなものかもしれません。
(澤井靖人)

任意後見制度に関係する悪質な犯罪行為にご注意ください(東京都福祉保健局)
任意後見制度に関する改善提言(日本弁護士連合会)

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任意後見制度1(成年後見シリーズ⑥)

今回は任意後見制度について書いてみようと思います。(みなとこうべ司法書士事務所ホームページご参照

まず、ご注意いただきたいのは今まで成年後見シリーズ①~⑤で書いてきた法定後見制度と任意後見制度は異なる制度であるということです。
法定後見制度は、既にご本人の判断能力が不十分なかたの制度です。任意後見制度は、現在はご本人の判断能力に問題はないが、将来、判断能力が低下した場合に備えたいという制度です。

ですから、「成年後見制度を利用したいが、申立人がみつからないので任意後見制度にしたい」といった相談を受けることがありますが、法定後見と任意後見の利用を選択的に検討するということは原則としてありません。(例外的に即効型任意後見契約というのもありますが説明は省略します)

法定後見制度においては家庭裁判所が後見人を選任しますので、どのような人物があなたの後見人になるかはわかりません。最近は一定の財産がある場合は専門職後見人が選任される傾向が強いようです。また、後見人が選ばれた時点では既に判断力が低下してしまっているため、後見人にあなたの希望や考えをきちんと理解してもらえるかもわかりません。

任意後見は、自分の信頼する人に将来を託すことができる制度です。判断能力に問題がないうちに、あらかじめ万一のときのあなたの後見人を決めておくことができます。
終末医療に対する考え方やどのように財産を管理して欲しいかといった、あなたの希望や考えをまとめた「ライフプラン」を作成し、未来の任意後見人(任意後見契約受任者といいます)に託しておくことで、あなたの判断力が低下した後も、任意後見人があなたの希望に沿った財産管理や活動をおこなってくれます。

もっとも大切なことは「この人なら間違いなく私の希望に沿った財産管理や活動をおこなってくれる」と信頼することができる相手をみつけることです。任意後見契約を慌てて締結する必要はありません。ゆっくりと時間をかけて探してください。

みなとこうべ司法書士事務所では必ず「見守り契約」を併せて契約していただくようお願いしています。これは、毎月1回施設やご自宅を訪問し、面談を通じて判断力に問題ないか確認させていただくものです。いつも雑談で終わってしまうのですが、面談を重ねることに信頼関係が深まっていきますので大切なものと考えています。また、希望や考えも時々で変化しますので、定期的に「ライフプラン」の見直しもおこなっています。

任意後見契約は、万一の判断能力低下の場合に備えて作成するものですから、契約が発効せずに終わってしまうケースのほうが多いかもしれません。しかし、以下の3つを組み合わせることでその他の不安についてもサポートすることができます。

・死後事務委任契約・・・死後の葬儀・納骨や入院費用の支払いや入居施設の明渡しなどの事務手続き

・遺言執行手続・・・あなたの遺産をどうするか。遺言書を作成し、遺言執行者として意思を実現します。

・財産管理委任契約(任意代理契約)・・・判断能力は低下していないが、病気で身体が動かないような場合の財産管理や病院への入院や施設への入所手続きなど
(澤井靖人)

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「判断能力が不十分=成年後見人は必ず選任」か?(成年後見シリーズ⑤)

「母が最近物忘れがひどくなってきたように思います。成年後見人をつけなければなりませんか?」
と質問をいただくことがあります。

ご本人の判断能力が低下したからといって後見人を必ず選任しなければならないわけではありません。
財産管理や重要な法律判断を必要とせず、家族で支えていけるのであれば問題はありません。
ただ、ご本人名義の不動産を売却する必要が生じたり、重要な法律行為をおこなう必要が生じた場合には、ご本人の判断能力が不十分だとそもそもできませんので、後見人選任手続きをする必要が出てきます。

たとえば、認知症の母親が有料老人ホームに入所するための費用を確保するために母親名義の不動産を売却したいという場合であっても、不動産売買決済の場に立ち会う司法書士が「ご本人の」意思を確認する必要がありますので、ご本人のご意思が確認できない場合には、いくら娘が代理人として署名すると主張しても「成年後見人選任申立て手続きをしてください」と言われることになります。(不動産取引について 参照 当事務所ホームページ


最近は、銀行の窓口で家族のかたがご本人の預金口座から引き出しをしようとしたができなかったことを理由に、成年後見人申立手続きを依頼されるかたも多いように感じます。ここで注意しなければいけないことがあります。

1つは、後見人は一度選任されたら、原則ご本人がお亡くなりになるまで辞められないということです。上記事例で、後見人が母親名義の不動産を売却したら後見人の仕事は終わりということにはなりません。
後見人は定期的に家庭裁判所に報告する必要がありますし、ご本人の財産をきっちりと分けて管理する必要があります。「家族だから」という理由で家族の家計と混同していい加減な管理をおこなっていると、後見人を解任されたり、場合によっては横領で告訴されることにもなりかねません。

2つは、必ずしもご親族が後見人に選ばれるわけではないということです。多額の財産があったり、重要な法律行為をおこなう必要がある場合は司法書士などの専門職後見人が選ばれる傾向があります。そして、財産管理や法律行為の判断は成年後見人があらためて判断することになりますので、専門職後見人が選ばれた場合、家族がいくら「母親名義の不動産を売却して欲しい」と主張しても、専門職後見人がその必要性がないと判断すれば売却はされないことになります。

3つは、以前のブログ「家事事件手続法が施行されます」でも書きましたが、一度申立てをすると、原則として申立てを取り下げることはできません。

後見制度は判断能力が低下したご本人の権利を守る重要な制度です。ですが制度を利用した結果、「こんなことならば利用しなければよかった」ということにならないよう、よく制度を理解したうえで利用を検討することが重要です。
(澤井靖人)

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