FC2ブログ

「判断能力が不十分=成年後見人は必ず選任」か?(成年後見シリーズ⑤)

「母が最近物忘れがひどくなってきたように思います。成年後見人をつけなければなりませんか?」
と質問をいただくことがあります。

ご本人の判断能力が低下したからといって後見人を必ず選任しなければならないわけではありません。
財産管理や重要な法律判断を必要とせず、家族で支えていけるのであれば問題はありません。
ただ、ご本人名義の不動産を売却する必要が生じたり、重要な法律行為をおこなう必要が生じた場合には、ご本人の判断能力が不十分だとそもそもできませんので、後見人選任手続きをする必要が出てきます。

たとえば、認知症の母親が有料老人ホームに入所するための費用を確保するために母親名義の不動産を売却したいという場合であっても、不動産売買決済の場に立ち会う司法書士が「ご本人の」意思を確認する必要がありますので、ご本人のご意思が確認できない場合には、いくら娘が代理人として署名すると主張しても「成年後見人選任申立て手続きをしてください」と言われることになります。(不動産取引について 参照 当事務所ホームページ


最近は、銀行の窓口で家族のかたがご本人の預金口座から引き出しをしようとしたができなかったことを理由に、成年後見人申立手続きを依頼されるかたも多いように感じます。ここで注意しなければいけないことがあります。

1つは、後見人は一度選任されたら、原則ご本人がお亡くなりになるまで辞められないということです。上記事例で、後見人が母親名義の不動産を売却したら後見人の仕事は終わりということにはなりません。
後見人は定期的に家庭裁判所に報告する必要がありますし、ご本人の財産をきっちりと分けて管理する必要があります。「家族だから」という理由で家族の家計と混同していい加減な管理をおこなっていると、後見人を解任されたり、場合によっては横領で告訴されることにもなりかねません。

2つは、必ずしもご親族が後見人に選ばれるわけではないということです。多額の財産があったり、重要な法律行為をおこなう必要がある場合は司法書士などの専門職後見人が選ばれる傾向があります。そして、財産管理や法律行為の判断は成年後見人があらためて判断することになりますので、専門職後見人が選ばれた場合、家族がいくら「母親名義の不動産を売却して欲しい」と主張しても、専門職後見人がその必要性がないと判断すれば売却はされないことになります。

3つは、以前のブログ「家事事件手続法が施行されます」でも書きましたが、一度申立てをすると、原則として申立てを取り下げることはできません。

後見制度は判断能力が低下したご本人の権利を守る重要な制度です。ですが制度を利用した結果、「こんなことならば利用しなければよかった」ということにならないよう、よく制度を理解したうえで利用を検討することが重要です。
(澤井靖人)

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
みなとこうべ司法書士事務所は三宮駅から徒歩5分、便利な立地に事務所を構え多くの方々の笑顔を取り戻してきました。
アットホームで元気に満ちあふれた司法書士が様々なお悩みを解決させて頂きます!まずはお気軽にご相談下さい。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
スポンサーサイト



Comment

Comment Form
公開設定